京都のウイスキーセレクトショップ「Cask salon de K」は、京都のバー文化を長く牽引してきた西田稔氏が選定するシングルカスクシリーズ「四神」の第三弾として、「玄武 ロイヤルブラックラ 2014/11年 オロロソオクタブ for Cask salon de K」を発表した。発表資料では、2026年7月28日からの展開、700ミリリットル、アルコール度数52.9度、87本限定と案内されている。
「四神」は、京都を守護するとされる青龍、白虎、玄武、朱雀を、それぞれ異なる蒸溜所と樽の個性に重ねるシリーズである。第一弾ではラフロイグを「青龍」、第二弾ではグレンアラヒーを「白虎」として採用。第三弾の「玄武」には、重厚さと落ち着きを担わせる形で、ハイランドのロイヤルブラックラが選ばれた。
ロイヤルブラックラは、1833年に英国王ウィリアム4世からロイヤルワラントを授けられた歴史を持つ蒸溜所で、華やかな果実味と整った口当たりを軸にした酒質で知られる。オフィシャルボトルでもシェリー樽を活用した構成が目立つが、今回のような単一樽では、複数の樽を組み合わせて均整を取る通常製品とは異なり、特定の樽が原酒に与えた作用がそのまま前面に表れやすい。
今回の鍵となるのは、オロロソのオクタブ樽である。オクタブは一般的な樽より容量が小さく、液体量に対する樽材との接触面積が大きい。そのため、ドライフルーツ、カカオ、キャラメル、香ばしい木質感といった樽由来の要素が短期間でも濃く現れやすい一方、熟成を進めすぎれば渋味や乾いた木の感触が原酒の果実味を覆う危険もある。
公開されている香味表現では、青りんごや洋ナシ、バニラといったロイヤルブラックラらしい明るい果実香に、レーズン、キャラメル、カカオ、ダークチョコレートの方向性が重なる。これは、蒸溜所由来の軽やかで端正な輪郭を残しながら、オロロソ樽によって甘味と厚みを増す設計と考えられる。クリームブリュレやバターを添えたパンケーキを思わせる濃厚さに、余韻の塩味が加わるという説明からは、単に甘く重いだけではなく、後半を引き締める要素も意識された選定であることがうかがえる。
52.9度という比較的高い度数も、樽由来の濃厚さを支えながら、加水による変化を楽しめる余地を残す。ストレートではカカオや焦がした糖、ウッディな要素が強く現れ、少量の加水によって洋ナシやバニラ、クリーム系の甘い香りが開く可能性がある。オクタブ樽の力強さを確認する意味でも、最初から大きく加水するより、数滴ずつ変化を追う飲み方が向いていそうだ。
87本という数量は、一般流通向けの商品というより、選定者の感覚と一樽ごとの個性を共有するための限定企画としての性格を強める。蒸溜所名だけで選ぶボトルではなく、京都のバー文化を背景に、誰がどのような完成像を求めて樽を選んだのかまで含めて楽しむ商品といえる。シリーズは今後、第四弾「朱雀」で完結する予定とされており、四つの銘柄を通じて選定基準の違いを比較することもコレクターにとっての関心点になるだろう。
発売日、価格、販売方法、在庫状況、発送時期などは変更される可能性がある。購入を検討する場合は、Cask salon de Kの公式発表または販売店の商品ページで最新情報を確認してほしい。
参考情報:株式会社イズミセ「伝説のバーテンダー監修、京都『四神』ウイスキー第三弾が2026年7月28日(火)発売」、Cask salon de K公式商品ページ