小学館集英社プロダクションとウイスキー専門サイト「WHISKY MEW」は、能條純一による麻雀漫画『哭きの竜』をラベルに用いた「キャンベルタウン・ブレンデッドモルト2016」を発表した。公式発表では、2026年8月7日から16日まで抽選申し込みを受け付け、販売価格は税込17,600円、抽選販売分は96本と案内されている。
ボトルの中身は2016年蒸溜、熟成年数9年、アルコール度数57.2%のブレンデッドモルト。総本数は139本とされ、原酒を供給した中心蒸溜所の名称は明かされていない。キャンベルタウンに現存する蒸溜所の一つで造られたモルトに、別蒸溜所のモルトをわずかに加えた構成であり、法的な区分はシングルモルトではなくブレンデッドモルトとなる。
このような少量の異なる原酒を加える手法は、独立系ボトラーのキャンベルタウン原酒でしばしば見られる。名称だけでは蒸溜所を特定できない一方、飲み手にとって重要なのは、蒸溜所名の推測よりも、熟成年数、度数、香味の輪郭からボトルそのものを評価することだろう。著名蒸溜所の名前を前面に出さず、選定者と液体の個性を軸に販売する点にも、WHISKY MEWらしい姿勢が表れている。
公表された香味情報では、みずみずしい果実、柑橘のジャム、和梨、トロピカルフルーツを思わせる要素に加え、グレープフルーツの果肉や皮に通じるほろ苦さが示されている。甘い果実香だけに寄せず、柑橘の苦味や高い度数による力強さを組み合わせた設計と考えられ、若さを勢いとして見せるタイプではなく、果実味の層と余韻の長さを重視したボトルになりそうだ。
57.2%という度数は、加水による変化も確かめやすい。ストレートでは果実の凝縮感やオイル感を、少量の加水では柑橘や梨の香りの広がりを探れる可能性がある。9年熟成は長期熟成品ではないものの、近年のキャンベルタウン原酒は熟成年数だけで評価しにくく、蒸溜由来の個性と樽のまとまりが早い段階から現れるボトルも少なくない。今回の一本も、年数より原酒の完成度を重視して選ばれたとみるのが自然だ。
『哭きの竜』は、静けさの中に緊張感を漂わせる画面構成と、主人公・竜の圧倒的な存在感で知られる作品である。濃密な果実味とほろ苦い余韻を想起させるウイスキーに、作品のハードボイルドな世界観を重ねた組み合わせは、単に人気漫画をラベル化しただけではなく、液体の印象まで含めて企画されたものと受け取れる。
一方で、漫画ラベルの限定品は、開栓して味わいたい層と未開封で保管したいコレクター層の双方から関心を集めやすい。総本数139本、抽選販売分96本という規模を考えると流通量は限られるが、本来の価値は希少性だけではなく、入手機会の少ないキャンベルタウン原酒を比較的若い熟成年数と高い度数で確認できる点にある。
抽選期間、販売価格、申し込み条件、在庫状況などは変更される可能性がある。申し込みを検討する場合は、WHISKY MEWの公式発表または販売ページで最新情報を確認してほしい。
参考情報:株式会社小学館集英社プロダクション発表「『哭きの竜』ラベル・ウイスキー 8月7日(金)より抽選販売受付開始!」