Little Bookは、8代目ビーム家の蒸溜家であるフレディ・ノウが、自身の祖父ブッカー・ノウへの敬意を込めて続けてきた年次限定シリーズである。毎年異なるテーマで構成されるブレンドは、アメリカンウイスキーの可能性を探る実験の場として位置付けられ、コレクターからも高い注目を集めてきた。
第10章となる「All The Wiser」では、シリーズ開始から積み重ねてきた経験を背景に、設計通りの完成形を追い求めるだけではなく、熟成原酒それぞれの個性を見極めながらブレンドを組み立てる考え方が採用されている。長年シリーズを追い続けてきたファンにとっては、単なる記念ボトルではなく、ブレンダーとしての成長そのものを味わうリリースと言えるだろう。
構成原酒には、Basil Hayden、Knob Creek、Booker's、Baker's、Jim Beamなど、ビームの代表的なブランドの熟成原酒が使用されている。4年から14年まで幅広い熟成年数のバーボンを組み合わせるだけでなく、一部にはシェリー樽やトーストしたバーボン樽で追加熟成された原酒も採用されており、単純な高熟成バーボンのブレンドとは異なる複層的な香味設計が意図されている。
公開されているテイスティングイメージでは、イチジクやレーズン、糖蜜を思わせる甘く凝縮したアロマに加え、キャラメルやシナモン、オークの厚みが重なり、余韻には熟成感を伴う樽香とドライフルーツの印象が続くとされる。シェリー樽由来の果実味と、トースト樽による香ばしさがビームらしい力強いバーボンの骨格に奥行きを与える構成は、シリーズ初期よりも成熟したブレンド思想を感じさせる。
Little Bookは毎年テーマを変えながら挑戦を続けるシリーズであり、過去にはライ麦やモルト、コーンウイスキーなど異なるカテゴリーを積極的に取り入れてきた。一方で第10章は、ビームグループが長年培ってきたスモールバッチブランドの個性を改めて見つめ直す内容となっており、シリーズの節目にふさわしい原点回帰と進化の両面を備えた構成と受け取ることができる。
限定シリーズとしての希少性に加え、節目となる第10章という位置付けから、コレクション対象として注目する愛好家も少なくないだろう。ただし、発売時期や販売地域、価格、流通状況は地域や販売店によって異なる可能性があるため、購入を検討する場合は必ず公式発表または販売店ページで最新情報を確認してほしい。
参考情報:Whisky Advocate「Whiskey of the Week: Little Book Chapter 10: “All The Wiser”」