1779年創業のボウモア蒸溜所は、アイラ島の中でも潮気を思わせるニュアンス、穏やかなスモーク、果実味を重ねやすい酒質で知られる。力強いピートを前面に押し出すだけではなく、樽熟成による甘みと調和させることで、幅広い飲み手に届くスタイルを築いてきた。
今回定番ラインアップに加わる「ボウモア9年」は、アメリカンオークのバーボン樽原酒と、ヨーロッパ産オロロソシェリー樽原酒を組み合わせた構成とされる。若い熟成年数は原酒の輪郭が明瞭に出やすい一方、バーボン樽のバニラや甘い木香、オロロソ樽のドライフルーツを思わせる厚みを重ねることで、ボウモアらしい柔らかなスモークを親しみやすく見せる設計と考えられる。熟成年数の長さを競う商品ではなく、アイラモルトの入口としても、日常的に飲めるシングルモルトとしても位置づけやすい一本だろう。
あわせて通年商品となる「ボウモア シェリー」シリーズは、シェリー樽での後熟を軸に、蒸溜所本来のスモーキーさへ甘やかな香りと濃度を重ねるラインだ。12年は赤いベリーやバニラキャラメルを思わせる香味、15年は干しぶどうやシナモン、18年はパイナップルやダークチョコレートを連想させる味わいが案内されている。年数が上がるにつれて単に樽感を濃くするのではなく、果実味、スパイス、チョコレート調の余韻へと表情を移していく構成は、同じシェリー樽系でも飲み比べの軸をつくりやすい。
限定品として注目を集めたシリーズを通年化することには、供給の継続性を持たせながら、ボウモアの選択肢を定番棚に定着させる狙いが見える。コレクション性だけでなく、飲み手が年数ごとの違いを時間をかけて確かめられる点が重要だ。アイラモルトにシェリー樽由来のリッチさを求める層にとっては、既存のボウモア各商品とは別の比較軸が生まれることになる。
「ボウモア9年」は700ml・アルコール度数40%、「ボウモア シェリー12年」は700ml・40%、「同15年」と「同18年」は各700ml・43%として案内されている。実際の取扱店、販売価格、在庫状況は変動するため、購入前には必ずブランドの公式発表または各販売店ページで最新情報を確認したい。
参考情報:サントリーによる商品発表